人工知能/計算知能 Artificial/Computational Intelligence

 人工知能(Artificial Intelligence)、ビッグデータ(Big Data)、IoT (Internet of Things)といったキーワードが世間を賑わせており、これらのキーワードがニュースに登場しない日はない、というくらい頻繁に目にするようになっています。
 これらのキーワードが関連する技術が、我々の世の中をきっと豊かにしてくれる!という強い期待からでしょうか・・・悪い意味で、これらのキーワードをつけたサービス・商品が目につくようにもなってきております。今回のこのブーム、キーワードだけが先行した空っぽのものにならないよう、我々も知能に関わる研究室のメンバとして、日々、研究成果を世に送り出してゆきたいところです。


さて、我々の研究室の名前、覚えていますか?

そうです。

 「計算知能・マルチメディア研究室」

という名前です。

 計算知能(Computaional Intelligence)とは、現行の人工知能(AI)、さらに生物進化モデル、人間の主観の積極的な導入(ファジィ)、カオス・フラクタル等の複雑系、分散人工知能としてのマルチエージェントなどを含む、幅広いコンセプトになります。本研究室では、計算知能を構成する各要素分野を有機的に、かつ斬新な視点で融合し、あるいは必要があれば独自にその分野を創出し、新しい次の世代を切り開くインテリジェンスのあり方を、常に模索しております。新しいコンセプトの提案は、非常にクリエイティブで楽しいプロセスであると同時に、(たぶん、実践した人ならばよくわかる)産みの苦しみに常に悩まされます。皆で、一生懸命、悩みながら、しかし楽しく、エキサイティングに、新しいコンセプトを世に提案しませんか?そんな仲間を募集中です!

それでは、本研究室がこれまでに取り扱ってきた研究トピックをいくつかご紹介しましょう。

計算知能のトピック1: 本質的な転移学習を求めて

 人工知能(AI)と言えば、データ駆動型と呼ばれる、豊富でかつ品質の高いデータを使って学習させた深層型ニューラルネットワーク(特に畳み込みニューラルネットワーク、Convolutional Neural Networks)を示すことが多いと思います。確かに、深層型ニューラルネットワークは、あるタスクにおいては、人間をはるかに凌駕する圧倒的なパフォーマンスを持つものもありますが、そのネットワークを構築するためには、まずデータがなければ話にならない、これがデータ駆動型と呼ばれる由縁です。
 一方で、このデータ駆動型AIを、まさに駆動させるための豊富でかつ品質の高いデータを準備することが、そもそも困難である分野があり、いや、実は世の中の大半のタスクはそうであり、その場合には、ゼロからデータを集め、そして深層型ニューラルネットワークを学習させなければなりません。これは、経済的にも時間的にも非常にコストがかかることです。
 これを解決する技術として注目されているのが、「転移学習」になります。これは、すでにあるタスクに対して、高い性能を持つ深層型ニューラルネットワークの一部を改良(転移)することで、データの少ない、別のタスクにも適応できるようにするものです。

従来の転移学習では、すでにできあがっている深層型ニューラルネットワークに、少し層を追加するなどでチューニングしておりましたが、本研究室では、もっと大胆に、深層型ニューラルネットワークの各層をモジュールとして扱い、イメージとしては、以下の図のようにモジュールをカセットのように入れ替えることで、転移学習を実現する研究を行っております。このコンセプトは、今井君が着想したもので、「Stepwise PathNet」という名称をつけており、以下の図のように、深層型ニューラルネットワークを層単位で扱っております。それぞれの層を、生物の進化を模擬した遺伝的アルゴリズムを使って選択・学習を行い、転移学習を実現しています。

今井君の研究では、提案したStepwise PathNetを使い、実際に、IMAGENETによって学習を行ったInception V3というネットワークを、CIFAR100という別の一般物体認識の問題に適応させる転移学習を行い、従来の転移学習の方法に比べて優れた結果が得られております。

  • S. Imai, and H. Nobuhara, 'Stepwise PathNet: Transfer Learning Algorithm to Improve Network Structure Versatility', 2018 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics, Miyazaki, Japan, Oct. 8 (2018)
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