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計算知能・マルチメディア研究室では、計算知能の物理的な実装の対象としてドローンやロボットも扱っております。特にドローンに関しては、ドローンという名前が普及する以前、「UAV(Unmanned Aerial Vehicle)」と呼ばれていた時代から、取り組んでおりました。そのような時代からドローンについて取り組んでいたので、ドローンの黎明期から、世界的なブームが巻き起こるまでの流れもよく理解しております。現在は、それも落ちついてきた感じがあります。ちょっとネガティブな言い方をすると、あらゆる分野において、ドローンの利用方法は出尽くし、また各者によるドローンの機能改良は頭打ち、停滞している状況になっているかと思います。一方、ここからが、大学が得意とする挑戦的な取り組みの出番なのではないかと思います。計算知能・マルチメディア研究室では、このような取り組みを日々行っております。その取り組みの一部を、ここでは紹介したいと思います。
世界最高のドローン研究室
2019年11月5日、世界最高峰のロボットの国際会議IROS2019のドローンの自律飛行競技大会において、わが計算知能・マルチメディア研究室のドローンタスクフォースチームが優秀しました。この競技大会には、世界各国の強豪、メリーランド大学(米国)やデルフト工科大学(オランダ)が参加しておりましたが、それらを抑えての見事な優勝でした。このようなコンペに挑戦したいというメンバ、ぜひ一緒にやりましょう。
また、この優勝については各方面で高く評価され、日本経済新聞(2020年2月17日)にも掲載されました。
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コンパクト安全ドローン
ドローンは、誰でも手軽に扱えると思われがちですが、実際に飛ばしてみると、その危険性、とくにプロペラ部分について危険と感じることが多いです。本研究室では、この危険を回避するため、ドローン全体をコンパクトにし、ガード全体で覆うタイプのドローンを開発しています。ドローン全体を球体のように覆うタイプのものもありますが、それらは非常にサイズが大きくなってしまうのが難点です。本研究室のドローンはそのようなことはなく、ローター部分を重複させるという、これまでにない斬新なアイデアでコンパクトで安全なドローンの開発に成功しています。
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安全なコアンダドローンへの挑戦
コンパクト安全ドローンは、これまでにはない斬新な挑戦でしたが、それでもプロペラのリスクを完全に取り除けているわけではありません。計算知能・マルチメディア研究室では、このプロペラのリスクを完全に克服するための次なる挑戦、コアンダドローンの研究・開発に着手しております。コアンダドローンとは、簡単にいえば、推進機構にダイソンのドライヤーのような羽のない噴出ノズルを搭載しているドローンです。
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こちらの研究についても高く評価され、霜村君が見事、農業情報学会の論文賞を受賞しております。
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連結型ドローンへの挑戦
これまでのドローン分野では、基本的に1機体を運用するということに注力していますが、計算知能・マルチメディア研究室では、複数のドローンが本質的に強調して機能する、連結型ドローンを研究・開発しております。例えば、重いペイロードへの対応、また、農業の文脈で言えば、基線長が安定した多視点からの同期撮影なども実現できると予想しています。
合体前の1機体モジュール
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一方、連結機構に電磁石を利用すると、電磁石は連結後の地磁気センサによる計測を乱してしまうため、ドローンの自動制御に重要な自己姿勢の推定が困難になってしまいます。これを克服するため、RTK-GPSを複数個からの情報をフュージョンする拡張カルマンフィルターを用いて、姿勢を推定する手法を提案しています。
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これまでの取り組みの紹介
少し昔の画像になりますが、かつて計算知能・マルチメディア研究室では、以下のようなに、ドローンを使った農業の取り組み、などを行っておりました。
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